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COLUMN

コラム

観光業×音楽LIVE協賛でミュージックツーリズムを仕掛けた成功事例|地域ブランドとインバウンドを同時に攻略する新戦略

2026/03/30

観光業における差別化の手段として、音楽LIVE協賛は今や無視できない選択肢になっています。来訪者の遠征消費、ライヴ空間での感情的なブランド接触、SNSによるオーガニック拡散、そしてインバウンド誘致への親和性——これらを一つの施策で同時に狙えるのは、音楽LIVE協賛ならではの強みです。

 

観光業の「次の一手」が見つからない理由

観光業をめぐるマーケティング環境は、ここ数年で大きく変わりました。デジタル広告の費用対効果が落ち、コト消費への関心が高まるなか、従来の施策では「選ばれる観光地・宿泊施設」になることが難しくなっています。その突破口として、いま注目されているのがミュージックツーリズムという考え方です。

 

従来型広告の限界と体験型マーケティングへのシフト

Web広告・SNS広告の単価上昇は多くの業種で課題になっているが、観光業も例外ではありません。企業や観光事業者の間では、体験型マーケティングへの関心が急速に高まっています。

 

また、観光業のターゲットのひとつである訪日外国人の消費行動を見てみると、いわゆる「コト消費」へのシフトが顕著です。2024年1〜9月の訪日外国人消費額は過去最高の5兆8,582億円を記録した。増加しているのは商品購入だけでなく、地域文化・食・アクティビティといった体験への支出です。観光客は単にランドマークを訪れるのではなく、個人的なつながりや感情的な関与、文化的な豊かさを求めて旅をするようになっています。

 

※参考:インバウンド消費動向調査(旧 訪日外国人消費動向調査/観光庁)

 

ミュージックツーリズムとは何か?

ミュージックツーリズムとは、音楽を主目的または旅行の重要な動機として旅をする観光スタイルです。コンサートやフェスに参加するだけでなく、開催地の食・文化・宿泊・周辺観光を組み合わせた、いわゆる「音楽を軸にした旅」全体を指します。かつては一部の熱心な音楽ファンによる特殊な行動とされていましたが、今や世界的な成長産業として認識されています。

 

市場規模を見ると、その成長の勢いは明らかです。Grand View Researchのレポートによれば、世界の音楽観光市場は2030年までに約2,678億ドルに達し、2025年からのCAGRは18.8%と予測されています。

 

※参考:音楽観光市場 市場規模・シェア・動向分析・予測 2025〜2030年(Grand View Research)
 

 

音楽LIVE協賛を利用したミュージックツーリズムの仕掛け

ミュージックツーリズムを「仕掛ける」手段として、いま注目されているのが音楽ライヴへの協賛だ。ライヴという場が持つ独自の集客力と感情的な熱量を、観光業のマーケティングに直接接続できる点がその理由である。

 

音楽ライヴが持つ3つの集客パワー

音楽ライヴが観光業にとって強力な施策になる理由は、大きく3つあります。

 

■遠征消費が「観光消費」そのものになる

……ライヴやフェスに参加するファンは、会場内でのチケット代にとどまらず、交通・宿泊・飲食にも積極的に支出する。特に30代のライヴファン層は「遠征費用や宿泊費を惜しまない傾向がある」とも指摘されており、観光消費を生む動線として極めて有効です。

 

■感情の高ぶりがブランドへの記憶定着を高める

……ライヴ空間は、日常とは異なる高揚した感情状態をつくり出します。その状態でブランドに触れた体験は、通常の広告接触よりもはるかに記憶に残りやすいといえます。全国ツアーへの帯同協賛では、複数回のブランド露出が好感度の積み上げに貢献し、長期的に「そのジャンルの定番」として想起されるようになるでしょう。

 

■来場者のUGCが観光プロモーションとして機能する

……ライヴやフェスはSNSとの相性が非常に高く、その投稿が潜在的な観光客に届きます。企業や地域がPR費用をかけずに観光情報を拡散させられるこの構造は、従来の広告にはないオーガニックな波及力を持つでしょう。

 

協賛という手法が観光業にマッチする理由

音楽ライヴへの協賛が持つ最大の特徴は、アーティストやイベントへの好感をそのまま企業・地域ブランドに転移させられる点です。CMや看板広告はあくまで企業から消費者への一方的な発信だが、協賛の場合、好きなアーティストを応援する文脈に企業が寄り添う形になるため、ファンに「このブランドは自分たちの味方だ」と感じさせることができます。

 

協賛メニューの幅広さも、観光業と相性が良いといえる理由です。会場内CM・バナー・ロゴ掲出によるブランド認知から、ブース出展や観光地のサンプリングによる直接PR、QRコードを活用した予約誘導まで、来場者との接点を多層的に設計できます。さらに、単発の地域ライヴへの協賛(数十万円〜)から、有名アーティストの全国ツアーへの帯同協賛(数百万円〜数千万円)まで、予算規模に応じた選択肢もあります。

 

インバウンド誘致との親和性

音楽ライヴやフェスが持つもう一つの強みは、言語や文化の壁を超えやすいことです。音楽は言葉がわからなくても感動できるコンテンツであり、外国人旅行者にとっても参加障壁が低いのです。実際、Trip.comとGoogleが共同で実施した調査では、アジア太平洋地域の旅行者の63%が「コンサートのために旅行したことがある」と回答しており、インバウンド向けの集客装置としての機能は実証されつつある。

 

SNSによる海外への情報拡散も見逃せません。国内で開催されたライヴの映像や写真がTikTokやInstagramに投稿され、それを見た海外のファンが「日本に行って同じアーティストのライヴを体験したい」と考える流れは、すでに各地で起きている現象です。

 

※参考:Why Travel?(by Trip.com and Google)

 

観光業における音楽LIVE協賛を活用したPR施策の事例

観光客の誘致・滞在延長・インバウンド取り込みを実現する手段として、音楽ライヴ・フェスへの協賛を活用した国内外の事例が増えています。以下に、ミュージックツーリズムの観点から参考になる3つの事例を紹介します。

 

Trip.com × Live Nation Asia「音楽ライヴ×旅行のワンストップ化でアジア圏インバウンドの滞在延長を実現」

グローバル旅行サービスのTrip.com Groupは2025年10月、世界最大のライヴエンターテインメント企業Live Nation Asiaと戦略的パートナーシップを締結しました。 アジア太平洋地域の旅行者の約66%が音楽ライヴ目的で海外旅行を検討するというデータを背景に、Trip.comのプラットフォーム上でライヴチケット・航空券・ホテル予約を一括完結できる「音楽ライヴ中心の旅行」を設計する取り組みです。

 

すでに具体的な成果も出ており、シンガポールではレディー・ガガ公演時にホテルの予約数が約3倍に増加、香港では音楽ライヴ参加者の半数以上が観光目的で滞在を延長したことが確認されています。 ライヴという強力な集客装置に観光消費を接続することで、一過性のイベント消費を宿泊・周辺観光へと波及させるモデルを実証した事例です。

 

※参考:Trip.com Groupと Live Nation Asia、「音楽ライヴ旅行」推進で提携(観光経済新聞)

 

フジロック × 湯沢町「25年の継続協賛で”苗場=フジロック”のブランドを確立し、国内外から10万人超が集まる観光資源に」

新潟県湯沢町の苗場スキー場を舞台に毎年開催されるFUJI ROCK FESTIVALは、25年以上にわたって町と音楽フェスが共存・協力してきた日本を代表するミュージックツーリズムの事例です。 「フジロックは湯沢町の誇り」と地域住民・行政が語るほど、フェスと地域のブランドが完全に融合しており、国内外から200組を超えるアーティストが出演する規模は、苗場の大自然という観光資源そのものの価値を世界に発信し続けています。

 

単なる音楽イベントの誘致にとどまらず、宿泊・飲食・交通・周辺観光への波及効果が長期的に積み重なることで、スキーシーズン以外の集客課題を音楽で補完するという地域観光の構造転換に成功した点が、この事例の最大の特徴です。 フェスへの企業協賛も地域ブランドと一体化した文脈で行われるため、協賛企業には「フジロックを支える企業」としての高い好感度が付与されます。

 

※参考:「フジロックは湯沢町の誇り」25年の歩みが生んだ音楽フェス×地域の理想的な関係。チケットをふるさと納税の返礼品に加えた理由とその想いとは(PR TIMES STORY)

 

墨田区×ミュージックツーリズム事業「観光舟運の活性化を音楽ライヴで仕掛け、水辺の賑わいと来訪者増を同時に実現」

東京都墨田区は2024年度、「音楽都市すみだ」の街おこしを目的として、観光舟運の活性化と水辺の賑わい創出を組み合わせた「ミュージックツーリズム事業」を実施しました。 隅田川という既存の観光資源に音楽ライヴという体験価値を掛け合わせることで、通常の観光PRでは生まれにくい「ライヴのために隅田川を訪れる」という新たな来訪動機を創出する設計です。

 

自治体が音楽ライヴイベントの協賛・主導する形でミュージックツーリズムを仕掛けたこの取り組みは、京都府舞鶴市が日本観光振興協会・コンサートプロモーターズ協会と連携して進める「ミュージックツーリズム構想」と同様、行政と民間が協力してライヴを観光インフラとして活用するモデルとして注目されています。観光業の企業が自治体のこうした取り組みに協賛として参画することで、地域ブランドとの共存・行政との連携実績を同時に得られる点も見逃せません。

 

※参考:墨田の文化芸術振興のあゆみ(墨田区)

 

観光業がLIVE協賛を成功させるための設計のポイント

LIVE協賛・イベント協賛を観光業のマーケティングに活かすには「協賛枠を買う」という発想から「来訪者体験を設計する」という発想に切り替えることが重要です。ターゲット選定から会場内の動線設計、ライヴ後の発信、効果測定まで、一連の流れを連動させて初めて成果につながります。

 

ターゲットと音楽ジャンルのマッチング

LIVE協賛で成果を出すための第一歩は、「誰を呼びたいか」を先に定義することです。どれだけ人気のアーティストでも、自社が誘致したい来訪者層とライヴの来場者層がずれていれば、費用対効果は大きく落ちます。

 

まず、誘致したい観光客の属性(年代・性別・居住地・国籍)を明確にし、その層が熱狂するアーティストやフェスを逆引きで選定しましょう。たとえば、国内の30〜40代女性をターゲットとするなら女性ファンが多いポップスやR&Bアーティスト、地方の若年層なら地元出身のロックバンドやフェスが候補に上がります。

 

インバウンドを狙うなら、アジア圏や欧米圏でのSNSフォロワー数・海外公演実績を持つアーティスト、国際的な知名度を持つフェスへの協賛が有効です。Z世代の国内客にアプローチしたい場合は、TikTokでの楽曲バイラルやInstagramでの発信力が選定基準になります。

 

ツアー価値を感じさせる企画を立案する

ターゲットとアーティストが決まったら、次は「ライヴに来た人が観光もしたくなる」仕掛けを企画に組み込む段階です。協賛の枠を取るだけでなく、来場者がライヴと観光を一体の体験として感じられる設計を意識することが、ミュージックツーリズムを「仕掛ける」うえで最も重要なポイントです。

 

具体的には、ライヴ会場のブースや配布物に地域の観光情報を組み込む方法があります。ただし「パンフレットを置く」だけでは素通りされやすいといわざるを得ません。ここで「このライヴのために来た人だけが使える宿泊割引」「翌日使える地域グルメクーポン」など、ライヴ来場者であることを特典の条件にすることで、行動変容を自然に引き出せます。

 

アーティストや開催地と連動した企画も有効です。たとえば、地元ゆかりのアーティストのライヴに協賛しながら、アーティストの出身地を巡るスポットマップを作成・配布する、あるいはライヴ会場の近くにある観光地を「聖地」として位置づけてSNS投稿を促す、といった企画は来場者の共感を得やすいといえます。ファンにとってのアーティストへの愛着が、地域への興味に自然と転換されるからです。

 

また、全国ツアーに帯同協賛する場合は、複数の開催地を束ねた「ツアー連動企画」も検討できる。各地のライヴ会場でスタンプラリーや限定グッズを設けることで、複数都市への遠征を後押しし、地域をまたいだ観光消費を生み出すことができます。一つのアーティストへの協賛が、複数の地域への来訪動機になる点は、通常の観光プロモーションでは得にくい大きな強みです。

 

多言語・多チャネルで発信しライヴ外のインバウンド需要を取り込む

ライヴが終わった後も、協賛の効果は継続させることができる。そのためには、ライヴ「外」での情報発信設計が不可欠だ。

 

まず、協賛情報や地域PRコンテンツを英語・中国語・韓国語など主要言語で制作し、Instagram・TikTok・X(旧Twitter)といった海外でも利用されているSNSに展開する。国内向けのプレスリリースと並行して、英語版のリリースを配信するだけでも、海外メディアや旅行ブロガーへのリーチが生まれる。次に、アーティスト公式素材(写真・動画)の活用権を協賛メニューに含める交渉をしておくと、訪日前の外国人ファンに向けた「聖地巡礼」型コンテンツの制作に役立てられる。さらに、会場内にフォトスポットや協賛企業・地域のブランドロゴが入った限定グッズを設置することで、来場者のUGC投稿が自然に発生し、オーガニックな情報拡散が生まれる。これらの発信を複合的に重ねることで、ライヴ当日だけでなく開催前後にわたる継続的な認知形成が可能になる。

 

観光KPIに紐づけた効果測定で次の協賛投資を正当化する

協賛の効果を「なんとなくよかった」で終わらせないためには、観光業の目的に即したKPIを事前に設定しておくことが重要です。マーケティング施策への社内承認を得やすくするためにも、数値で語れる設計が欠かせません。

 

具体的なKPIとしては、宿泊予約件数・観光地サイトのPV増加・クーポン利用率・会場内ブースへの立ち寄り数・SNS投稿数(ハッシュタグ件数)などが挙げられます。これらは協賛の前後で比較することで、施策の貢献度を可視化できるでしょう。

 

定性的な評価には、来場者アンケートを活用できます。「ライヴを機に地域を訪問した」「次回も観光目的で来たい」といった行動変容のデータは、次回の協賛予算を正当化する際の強力な根拠になります。1回の協賛で完結させるのではなく、PDCAを複数回回すことで、アーティストの変更・メニューの最適化・対象エリアの拡大といった改善判断が精度高くできるようになるでしょう。

 

LIVEマーケティングはミュージックツーリズムは「仕掛ける」時代へ

ミュージックツーリズムは、待っていれば自然に起きるものではありません。観光業が主体的に「仕掛ける」ことで初めて機能する戦略です。その一歩として、音楽LIVE協賛という手段をぜひ検討してみてください。

 

ライエルは、全国の音楽ライヴ・フェス情報のデータベースをもとに、企業のターゲットに合ったアーティスト・公演のマッチングから、協賛メニューの設計・実施・効果測定まで一貫してサポートする協賛支援サービスです。「何から始めればいいかわからない」という段階からでも、無料相談・資料請求を通じて具体的な提案を受け取ることができます。

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