COLUMN
コラム
採用ブランディング×音楽ライブ協賛で内定承諾率・応募数を伸ばした成功事例
2026/03/30

採用費をかけても応募が増えない、内定を出しても辞退が続く——そんな採用課題の根本には、「求職者に自社のカルチャーが伝わっていない」という問題があります。ここでは、その打開策として注目される音楽LIVE協賛・イベント協賛を採用ブランディングに組み込んだ手法と、実際に応募数・内定承諾率が向上した成功事例を解説します。
採用ブランディングとは
採用ブランディングとは、「この会社ではたらきたい」という求職者の意欲を高めるために、自社の魅力や独自性を戦略的に発信していく取り組みです。自社の理念・ビジョン・社風・働き方などを明文化し、一貫したメッセージを外部に発信し続けることで、「雇用主としてのブランド(エンプロイヤーブランド)」を確立していくプロセスでもあります。
採用ブランディングが単なる採用広告や求人媒体への出稿と異なるのは「どのような人材に、どのように自社を選んでもらうか」を戦略的に設計する点にあります。求人票に情報を載せて待つだけでなく、企業側が能動的に「選ばれる理由」をつくり、発信し続けることが本質です。取り組みの最終目的は、応募者の質と量の向上、内定承諾率の改善、そして入社後の定着率向上の3点に集約されます。
少子高齢化と売り手市場の加速により、採用競争はかつてない厳しさになっています。そんななか、東京趣向会議所が実施した意識調査によれば、就職先を決める際に重視したこと(複数回答)として「社風・職場の雰囲気」が58.8%で1位となりました。給与や福利厚生を上回り、求職者が最も気にしているのは「その会社がどんな空気感なのか」という感覚的な部分です。
他方、求人媒体や合同説明会といった従来の採用手法では、会社の雰囲気やカルチャーを効果的に伝えることが難しいという現実があります。そこで必要なのが、求職者の感覚に訴求し、入社まで選ばれ続けるための採用ブランディングです。
採用ブランディングの基本
採用ブランディングを機能させるには、「何となく良い会社に見せる」のではなく、ターゲットを明確にしたうえで感情に響くメッセージを設計し、求職者との接点を意図的に積み重ねていくことが重要だ。ここでは押さえておくべき3つの基本を解説する。
採用ターゲットの価値観を言語化する
採用ブランディングの出発点は「自社に合う人物像」を具体的に言葉にすることです。スキルや学歴といったスペックの定義にとどまらず「どんな体験に感動するか」「どんな言葉に共鳴するか」「どんな価値観を大切にしているか」という行動特性・内面の軸で人物像を描くことが求められます。
求職者との感情的接点を複数設計する
採用ブランディングには説明会やOB訪問だけでなく、SNS発信やイベント参加など「感情が動く接点」を複数用意することが欠かせません。接触の回数と質を積み重ねることが、内定承諾率の向上に直結します。
働く人のリアルを可視化する
採用ブランディングで見落とされがちなのが「誰が発信するか」という視点です。企業公式アカウントからの発信は整理されている分、求職者に「本当のことを言っているのか」と疑われやすいと言わざるを得ません。一方で、社員個人のSNS投稿や体験談は、飾りのないリアルさがあるぶん信頼を得やすいといえます。
採用ブランディングを音楽LIVE協賛で加速できる理由

採用ブランディングには「感情を動かす体験の場」が必要だと前述しましたが、その設計手法として近年注目されているのが音楽ライヴへの協賛です。なぜLIVE協賛が採用ブランディングと相性がいいのか、心理学的な根拠とデータをもとに解説します。
「価値観が合う企業」として自然に認識してもらえる
音楽ライヴへの協賛が採用ブランディングに効く最大の理由のひとつが、心理学でいう「ハロー効果」です。ハロー効果とは、ある対象への好印象が、周辺にある別の対象へも自然に波及する心理現象を指します。好きなアーティストを「応援してくれている企業」として認識したとき、ファンはその企業に対しても自然と好感を抱きやすくなります。
採用ブランディングの基本として「採用ターゲットの価値観を定義する」ことの重要性を述べましたが、LIVE協賛はこの点で非常に効果的に機能します。協賛先のアーティストやイベントが持つ世界観——「挑戦」「自由」「仲間との絆」といったテーマ——が、自社の企業カルチャーや求める人物像と重なっているとき、求職者は「このアーティストが好きな自分と、この企業の価値観はきっと合う」と直感的に感じ取ります。これは言葉で説明する採用広告では再現が難しい、体験を通じた共感の伝達です。
従来の広告が「情報を届ける」ものだとすれば、LIVE協賛は「価値観を共鳴させる」手段といえます。求職者に「この企業は自分と同じものが好きなんだ」と思ってもらえること自体が、採用ブランディングの目指す「選ばれる企業像」の形成に直結しています。
繰り返しの接触が「感情を動かす接点」を自然に積み重ねる
採用ブランディングの基本のひとつとして、求職者との「感情的な接点を複数設計すること」の重要性を解説しました。LIVE協賛はこの接点設計において、他の施策にはない強みを持っています。
その根拠となるのが、心理学のザイアンス効果(単純接触効果)です。同じ対象に繰り返し接触するほど親近感・好意が高まるというこの現象は、採用活動にも直接応用できます。全国ツアーへの帯同協賛であれば、各会場で統一されたデザインのロゴやバナーが繰り返し来場者の目に触れます。最初は無関心だった求職者も、2〜3回の接触を経て「見慣れた存在」として認識されるようになり、4回目以降には自然と親近感や好意が芽生えるとされています。
さらに重要なのは、ライヴ会場という場の特性です。求職者は感情が高揚した状態にあり、通常の情報接触時よりも記憶への定着率が高くなります。会場内CM・バナー・採用ブース・SNS投稿といった複数のタッチポイントを組み合わせれば、1回のイベント内でもザイアンス効果を意図的に設計できます。説明会や求人媒体では生み出しにくい「感情と結びついた記憶」を、音楽LIVE協賛は自然な形で形成してくれます。
社員の発信が「働くリアル」として届く潜在層がいる
採用ブランディングの基本として「社員の発信で働くリアルを見せること」の有効性を解説しましたが、そもそもその発信が届く受け手がいなければ意味がありません。求人媒体は「すでに転職・就活を意識している層」にしかリーチできないという根本的な限界があります。
LINEリサーチが2023年に実施した調査によると、音楽フェスへの参加経験がある人の割合は20〜40代で高く、特に30代では男女ともに4割弱に上ります。ライヴ会場には、求人媒体に触れていない「潜在的な転職・就職候補者」が多数集まっています。こうした層に対して、感情が動いている瞬間に企業ブランドを届けられるのは、LIVE協賛ならではの強みです。
加えて、社員がライヴ参加の様子をSNSで発信することで、会場にいなかった人々へもUGC(ユーザー生成コンテンツ)として情報が広がります。「楽しそうに働いている社員がライヴにいる」という投稿は、採用広報として最も信頼性の高いコンテンツのひとつです。企業公式の発信では生まれにくい「リアルな空気感」が、潜在層の目に自然な形で届く——これがLIVE協賛と社員発信を組み合わせることの最大の価値といえます。
音楽LIVE協賛で採用ブランディングに成功した事例
音楽LIVE協賛は、採用広告では届かない求職者の感情に直接訴求できる手法です。ここでは、実際にLIVE協賛を採用ブランディングに活用し、応募数や内定承諾率の向上につなげた3社の事例を紹介します。
株式会社マーキュリー × ワタナベお笑いライブ
人材サービス会社の株式会社マーキュリーは、2025年8月からワタナベエンターテインメント所属の若手芸人が出演する「ワタナベお笑いライブ『WEL ROOKIE』『WEL ミニッツ』『WEL HOPE』」への毎月協賛を開始しました。自社劇場「シアターマーキュリー新宿」と連動させることで、LIVE協賛を単なる露出の場にとどめず、「エンタメの発信基地として夢追う人を支援する企業」という一貫したブランドメッセージを体現する場として機能させています。
この協賛の最大の特徴は、LIVE協賛で生まれた「劇場の生きた熱量」をそのままABEMA向けCMのコンテンツとして昇華させた点にあります。舞台袖の緊張感・観客の笑い声・ひたむきな若手芸人の姿を映像化し、若年層・エンタメファンとの親和性が高いABEMAで配信することで、会場に来られなかった潜在的な求職者層への採用ブランディングとしても展開しています。「新卒向け推し活採用で内定承諾率が約4倍に向上、応募数も前年比62.5%増」という数値が報告されており、エンタメ協賛が採用成果に直結した実例として注目されています。
※参考:夢を追う若手芸人の舞台裏へ。シアターマーキュリー新宿×ワタナベお笑いライブ、「ABEMA」でCM配信開始(PR TIMES)
奥村組 × J-WAVE「東京ギタージャンボリー」連続特別協賛
建設・土木を手がけるゼネコンの奥村組は、両国国技館で開催されるJ-WAVE主催の音楽イベント「東京ギタージャンボリー」に2020年から連続で特別協賛を行い、若年層への認知度・好意度向上を継続的に図っています。建設業は求人倍率が8倍を超える超売り手市場でありながら、学生からの人気・認知度が低いという採用課題を抱えており、音楽イベント協賛はその打開策として位置づけられています。
奥村組が音楽LIVE協賛と並行して取り組んでいるのが、女優の森川葵さんを起用した企業ブランドCMの8年継続です。最新作では「女性のキャリアアップ」と「男性の育休取得」をテーマに制作しており、音楽イベント協賛による感情的な接触とブランドCMによるメッセージ訴求を組み合わせた複合的な採用ブランディング戦略を実行しています。こうした複数の接点設計が「建設会社に入ろうとは思わなかったが、気づいたら気になっていた」という潜在的な就職候補者の意識変容を促しています。
※参考:国内最大級、ギター弾き語りの祭典「J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE 2026」3/7(土)・8(日)両国国技館で開催決定! 恒例、J-WAVEの“音楽花見”(PR TIMES)
スターツグループ × 音楽イベント協賛
不動産・住宅事業を手がけるスターツグループは、音楽イベントへの協賛を通じて、社員が会場での体験をSNSで発信する仕掛けを設計しました。企業公式の発信では「宣伝感」が出てしまうのに対し、社員個人のアカウントからの投稿は「等身大のリアル」として求職者に受け取られやすく、採用広報コンテンツとして高い信頼性を持ちます。
「ライヴを楽しむ社員の姿」というコンテンツは「この会社は社員を大切にしている」「仕事以外の面でも豊かな環境がある」というメッセージを、言葉を使わずに伝えることができます。採用ブランディングの基本である「働く人のリアルを可視化する」を、LIVE協賛という非日常の体験を通じて自然に実現した事例です。
採用ブランディングに活かす音楽LIVE協賛の始め方

LIVE協賛が採用ブランディングに有効だとわかっても、「実際にどう始めればいいのか」「どれくらいの予算が必要か」という疑問が残る担当者は多いです。ここでは、採用目的でLIVE協賛を実施する際の具体的な進め方を、予算規模別のメニュー選択も含めて解説します。
STEP1|採用ターゲットと協賛先を連動させて決める
最初に行うべきは、採用したい人物像と協賛先のアーティスト・イベントを紐づける作業です。「動員数が多いから」「有名だから」という理由だけで協賛先を決めると、集まる来場者層と採用ターゲットがずれ、費用対効果が著しく低下します。
具体的には、音楽ジャンルとファン層の属性を照合する方法が有効です。たとえば、行動力があり自己成長志向の強い20代を採用したいならロック系・バンド系のライヴ、感性や創造性を重視する人材を求めるならアート系フェスやインディーズ系イベントとの親和性が高くなります。また、地方採用の強化が目的であれば、全国から集客する大型フェスよりも地域密着型のイベントのほうが費用対効果は高くなります。協賛先が決まったら、自社のブランドイメージとアーティストの世界観が合致しているかを必ず確認しましょう。
STEP2|目的に合わせて協賛メニューを選ぶ
採用目的の音楽LIVE協賛で活用できる主なメニューは以下の通りです。目的に応じて複数を組み合わせることで、会場内での接触回数を増やしザイアンス効果を最大化できます。
メニューの例として、次のようなものが考えられます。
■採用ブース出展
……エンタメ要素(ゲーム・フォトスポットなど)を組み込み、若手社員が直接対話できる場を設ける。「社員と話した」という体験そのものが採用ブランディングになる
■QRコードノベルティ
……ドリンクチケットやオリジナルグッズに採用LPへのQRコードを印刷し、感情が高まった状態でのエントリーを自然な流れで促す
■会場内CM放映
……開演前・セット転換時などの注目度が高いタイミングで15〜30秒の企業メッセージを放映し、ブランドの刷り込みを行う
■SNS・Web連動メニュー
……イベント公式アカウントからの企業紹介投稿や、ハッシュタグキャンペーンを通じて、会場に来られなかった潜在層にも情報を届ける
■コピータイイン協賛
……アーティストの楽曲テーマや歌詞のキーワードと企業メッセージを重ね合わせ、ファンの心に自然と響く広告設計を行う
STEP3|予算規模別の現実的なプランを知る
LIVE協賛は大企業だけのものではありません。地域の小規模LIVEへの協賛であれば50万円〜200万円程度から参加が可能です。中規模フェスや都市部のホール公演では200万円〜1,000万円程度が目安となります。
採用強化を目的とした場合の予算例として、ブース出展(80万円)・会場内CM放映(50万円)・採用ノベルティ制作(30万円)・採用LP制作(40万円)を組み合わせると総額約200万円のプランが組めます。エントリー目標30名・最終採用5名を想定した場合、採用単価は約40万円となり、求人媒体のみで採用するケースと比較しても競争力のある水準です。
予算が限られている場合は、パンフレットへのロゴ掲載(5万円〜15万円)とSNS連動メニュー(5万円〜10万円)の組み合わせから始め、効果を検証しながら次回以降の予算を拡大するステップアップ型の進め方が現実的です。
STEP4|協賛後のフォロー設計まで一体で考える
音楽LIVE協賛の効果を採用成果に転換するには、当日の設計だけでなく協賛後のフォローまでセットで考えることが重要です。当日ブースでQRコードからエントリーした候補者には、翌日以内に個別フォローのメールや電話を入れることで、感情が高まった状態での興味を選考につなげやすくなります。
また、選考が進んでいる候補者や内定者を次のライヴに社員と一緒に招待する「体験型アフターフォロー」も内定承諾率の向上に効果的です。非日常の場を共有することで、候補者は「入社後もこういう人たちと働くのか」という具体的なイメージを持ちやすくなり、辞退防止につながります。ライヴ後の食事会や懇親会をセットにすると、エンゲージメントをさらに高められます。
当日の社員のSNS投稿や採用ブースの様子を採用広報コンテンツとして積極的に発信することも忘れずに。協賛に参加した社員の生の声や表情が、次の応募候補者への最も信頼性の高いメッセージになります。
採用ブランディングの設計に音楽LIVE協賛を
採用ブランディングに必要なのは、求職者の感情を動かす体験の場です。求人媒体や説明会だけでは届かない「社風・カルチャーへの共感」を生み出すための手段として、音楽LIVE協賛はハロー効果・ザイアンス効果という心理学的メカニズムを活用しながら、広告費を抑えつつ深いブランド好感度を形成できる数少ない手法といえます。
ライエルでは、採用ブランディングを目的としたLIVE協賛・イベント協賛の企画から、アーティスト・イベント選定、興行主との交渉、効果測定まで一括でサポートしています。「まずどんな音楽ライヴに協賛できるか知りたい」という段階からでも、相談・資料請求は無料で承っています。採用課題にお悩みの担当者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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