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COLUMN

コラム

見えない強みを可視化するには?音楽ライヴ会場で自社の技術力アピールに成功した事例

2026/08/21

「技術には自信があるのに、社名も強みも知られていない」といったもどかしさを抱える技術系企業の担当者は少なくありません。展示会に出展し、カタログを刷新し、技術ブログを更新しても、そんな悩みに効くのが、音楽LIVE協賛を通じた技術の可視化です。

ここでは、成功事例とともに、技術力を見せる・伝えるための方法を紹介します。

技術力の可視化とは?説明ではなく「体験」に変換すること

技術力の可視化とは、社内では自明な技術・品質・安全性といった無形資産を、専門知識のない第三者が五感で理解・体感できる形に変換して伝えることです。

無形資産が伝わらない3つの構造的理由

技術力アピールがうまくいかない原因は、担当者の努力不足ではなく、発信のしくみそのものにあります。アピールに失敗する典型的な理由を整理してみましょう。

■専門用語のまま発信している……1つ目は、社内の言葉で社外に語ってしまうケースです。たとえば「独自の表面処理技術により摩耗係数を30%低減」と書かれていても、業界の外にいる人はその数値がどれほどの価値なのか判断できません。「同じ部品が3倍長持ちするので、工場の停止回数が減る」と言い換えて初めて意味が伝わります。

■接触時間が短い媒体を使っている……2つ目は、伝えたい内容の複雑さと媒体の接触時間が釣り合っていない点です。Web広告のバナーが視界に入る時間は数秒程度、駅貼りポスターも通行の合間に一瞬見られるにすぎません。この短さでは、名前を覚えてもらうのが精一杯です。

■機能的訴求に偏り、感情の文脈がない……3つ目は「正しいけれど心が動かない情報」になっているという問題があります。たとえば、同じ耐久性の説明でも、試験データの表を見せられるのと、実物を手に持って想像より軽いと驚くのとでは、後日の記憶の残り方がまるで違います。

技術力の可視化の3原則

前項の3つの壁を裏返すと、無形資産を伝えるための方針が見えてきます。技術力の見える化に取り組む際は、次の3原則を設計の軸に置くと判断がぶれにくくなります。

①説明を体験に変える……読ませる・見せるから、触らせる・使わせる・試させるへと発想を切り替えます。軽量素材であれば持ち上げてもらう、防汚加工であればその場で汚して拭き取ってもらう。言葉を尽くすより、一度触れてもらったほうが早いという場面は想像以上に多いものです。体験型PRが技術訴求と相性が良いのは、この変換が起きるからにほかなりません。

②感情の文脈に載せる……同じ情報でも、受け手の心理状態によって受け取られ方は変わります。仕事モードで身構えている相手より、楽しんでいる相手のほうが、企業からのメッセージを素直に受け止めてくれる傾向があります。どこで伝えるかという場所の選択は、何を伝えるかと同じくらい成果を左右します。

③第三者に語らせる……自社が「当社の技術は優れています」と言うより、体験した人が「これ、すごかった」と発信するほうが、信頼性も拡散力も上回ります。来場者が撮影してSNSに投稿したくなる仕掛けをつくれれば、企業発の情報が生活者発の話題へと質を変えていきます。BtoB技術訴求において、この転換は特に効果を発揮します。

従来の技術可視化のやり方とその限界

多くの企業は、すでに何らかの形で技術力の発信に取り組んでいます。ただし手法ごとに得意・不得意がはっきり分かれており、どれかひとつで足りる事例は少ないといえます。

これまで技術を広く伝えるために利用されていた手法の特徴を整理すると、下の表のとおりです。

手法 接触時間 情緒価値 専門外への到達 費用感 限界
展示会・技術カタログ × 同業界内で完結する
オウンドメディア・技術ブログ すでに関心のある層にしか届かない
Web広告 機能説明で終わる・CPAが悪化しやすい
交通広告 記憶への残り方が弱い
TVCM BtoB企業では社内での正当化が難しい
イベント協賛・音楽LIVE協賛 中〜高 実施ノウハウが社内に蓄積されていない

言えるのは、接触時間の長さと専門外への到達が両立している手法が極めて少ないという事実です。

展示会は深く伝えられる反面、来場するのは初めから関心のある同業者に限られます。

逆にWeb広告や交通広告は幅広く届くものの、数秒の接触では技術の背景まで語れません。

TVCMは両方を満たしますが、費用の大きさに対して「なぜBtoB企業がCMを打つのか」という説明を社内で求められ、企画段階で止まりやすいのが実情でしょう。

イベント協賛・音楽LIVE協賛が選択肢として浮上するのは、この空白地帯を埋める位置にあるためです。数時間にわたって同じ空間に滞在してもらえるうえ、来場者の関心は業界の外に広がっています。

なぜ音楽ライヴ・イベント会場が優れた技術のデモ環境になるのか

音楽ライヴなどのイベントが行われる現場は、技術力を可視化してみせるときに「優れたデモ環境」として機能します。協賛し露出する場としての特性として、次のようなことがいえます。

会場そのものが技術の使用現場である

コンサート会場は、数千人から数万人を安全に収容し、大音量と強い光を数時間にわたって制御し続ける空間です。そこには音響、映像、照明、電源供給、通信、空調、建材、什器、来場者の導線設計、仮設ステージの構造など、多くの技術が同時に稼働しています。裏を返せば、技術系企業にとっての「使用現場」がそのまま存在しているということです。

この点が展示会との決定的な違いになります。展示会のブースに並ぶのは、あくまで持ち込まれたサンプルや模型でしょう。一方でライヴ会場では、自社の素材でつくったモニュメントが数千人に触れられ、自社の映像技術が実際の演出の中で使われ、自社の製品が人の流れを支える構造物として機能します。

素材や機器を持たない企業でも同じ発想は使えます。決済サービスであれば会場の物販での利用シーンが、通信インフラであれば数万人が同時にスマートフォンを使う環境そのものが、性能の証明になります。

ポジティブな心理状態で長時間接触できる

会場の性質と並んで見逃せないのが、来場者の心理状態です。ライヴに足を運ぶ人は、数か月前からチケットを確保し、当日を楽しみにして来ています。開演前の高揚感、演出への感動、終演後の余韻まで含めれば、企業が同じ空間を共有できる時間は数時間に及びます。

Web広告の数秒、交通広告の一瞬と比べたとき、この接触時間の差は単なる長短の問題にとどまりません。人は機嫌が良いときほど、目に入る情報を肯定的に受け止める傾向があります。仕事の合間に閉じたくなるバナー広告と、楽しんでいる最中に出会う企業メッセージとでは、同じ内容でも受け取られ方が違ってきます。

さらに、ファンとアーティストの結びつきが強いイベントでは、その公演を支える側に回った企業に対しても好意的な視線が向けられやすくなります。自社が売り込む立場ではなく、来場者の体験を良くする側に立てるという点が、他の広告手法にはない特徴です。技術という理解に時間のかかるテーマを扱う企業にとって、長く、好意的に接してもらえる条件は相性が良いといえます。

技術に関心の高い層にピンポイントでアプローチできる

もうひとつの特徴は、集まる人の性質にあります。一般的な広告のターゲティングは、年齢・性別・居住地・職業といったデモグラフィック変数を軸に組み立てられます。ただ「35歳・男性・首都圏在住」という括りの中には、価値観も生活習慣もまるで違う人が混在しています。

これに対してアーティストのファンは、好みや志向が近い人たちの集まりです。どんな世界観に惹かれるのか、何に感動するのかという心理的な共通項でまとまっているため、企業側から見れば伝え方を設計しやすくなります。実直なものづくりを大切にする社風であれば、その姿勢が響くファン層を持つアーティストの公演を選ぶ、といった発想も可能です。

音楽LIVE会場で自社の技術力アピールに成功した事例

「技術には自信があるのに、社名も強みも知られていない」というもどかしさを抱える企業にとって、音楽ライヴ・フェスの会場は、技術を実際に動かして見せられる稀有な舞台になります。クリエイティブツール、通信・XR技術、電源インフラという3つの異なる技術領域が、実際にどのようにライヴ会場で可視化されたのか、直近の事例から見ていきましょう。

事例1|アドビ × BLARE FEST. 2026「生成AIツールを”体験ブース化”、機能説明ゼロでクリエイティブ力を伝えた事例」

アドビは2026年2月、coldrainが主催する音楽フェス「BLARE FEST. 2026」(ポートメッセなごや)に初協賛し、「Adobe Firefly」と「Adobe Express」を体験できるデザインブースを出展しました。来場者はフェスの公式ロゴを生成AIでアレンジしたオリジナルステッカーや、タイムテーブルをカスタマイズしたタトゥーシールをその場で制作し、記念品として持ち帰れる設計です。ブースには2日間で約500人が来場しました。

BtoBのクリエイティブツールは「使ってみないと価値が伝わらない」という壁を抱えますが、この事例は展示や説明を一切挟まず、来場者自身の手で生成AIの実力を体感させることで、その壁を越えました。プロンプト入力から数十秒で自分だけのグッズが完成する体験は、ソフトウェアの機能一覧よりもはるかに強い説得力を持ちます。フェス開催前にはSNS上での参加型キャンペーンも実施し、当日以前からの話題づくりにも成功しています。

※参考:https://www.mdn.co.jp/art-culture/exhibition/7902

事例2|NURO&So-net × CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2026「通信・XR技術を”見える化”、スマホ1台で体感できる技術デモを実現した事例」

ソニーネットワークコミュニケーションズが提供する通信ブランド「NURO」と「So-net」は、2026年4月に横浜で開催された都市型音楽フェス「CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2026」の会場、Kアリーナ横浜にブースを出展しました。専用アプリでスマホをかざすと、VPS(Visual Positioning System)技術によって会場の天井が開き、巨大な3D映像のアーティストが出現するAR体験と、専用デバイス不要で立体視ができる裸眼3D体験を提供しました。

通信インフラという「目に見えないサービス」を、遅延なく滑らかに動くARという形で可視化した点が特徴です。VPSは会場周辺を事前に3Dマップ化し、カメラ映像と照合することでマーカーなしに正確な位置認識を実現する技術で、これが安定した通信・処理性能の証明そのものになっています。特別な機材を必要とせず、来場者自身のスマホだけで完結する設計にしたことで、技術デモへの心理的ハードルも下げています。

※参考:https://news.yahoo.co.jp/articles/e6cffd631a4806b86541561d5e2747dcab253c50

事例3|デンヨー × ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2025「発電機メーカーが”見えないインフラ”を無料充電サービスで実感させた事例」

エンジン発電機メーカーのデンヨー株式会社は2025年、日本最大級の野外音楽フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2025」(千葉市蘇我スポーツ公園)に初協賛し、会場内にブースを設置してスマートフォンの無料充電サービスを提供しました。電源のない野外フェス会場では、音響・照明・飲食店の運営に大型発電機が100台以上設置されることもあり、デンヨーはこの「見えないインフラ」を支える立場からの協賛です。

発電機という製品は、稼働している姿を来場者が直接目にする機会がほとんどありません。この事例では、フェス運営を支える発電機の存在を「スマホの充電が切れて困る」という来場者の身近な悩みに変換し、無料充電という直接的な便益として体感させました。会場の裏側で機能を発揮する技術を、来場者の目の前の課題解決という形に翻訳したことが、この事例の核心です。

※参考:https://www.denyo.co.jp/pdf/news/release_rij_20250611.pdf

適合する音楽LIVE協賛のメニュー(技術のタイプ別)

音楽LIVE協賛のメニューは十数種類あり、そのすべてが技術訴求に向いているわけではありません。メニュー選定では、自社の技術のタイプに合う種類を知っておくとスムーズです。

下の表は、技術の性質とメニューの対応関係を整理したものです。複数のタイプにまたがる企業であれば、組み合わせて実施することもできます。

自社の技術タイプ 適したメニュー 可視化されるもの
素材・加工・強度 モニュメント/シートカバー・客席バナー 実物の質感と仕上がり
機器・システム・計測 ブース出展/プレイスメント映像 稼働している状態
消費財・成分・機能性 会場内サンプリング/楽屋エリアサンプリング 使ってみたときの実感

メニュー選定の出発点は、予算でも会場規模でもなく、自社の技術がどの感覚に訴えるものかという点です。手で触れて違いがわかる技術なのか、動いている状態を見せたい技術なのか、それとも使ってみて初めて実感できる技術なのか見極めができれば、選ぶべきメニューは自然と絞り込まれていきます。

【協賛メニュー別】音楽ライヴ・イベント協賛における技術力アピールの考え方

音楽LIVE協賛・イベント協賛において活用するメニューが実際にどう形になるのか、ここで考えて見ましょう。

モニュメント・バナー・シートカバー設置

来場者の目に止まる場所に造形物を制作して設置する方法です。自社の素材や加工技術をそのまま構造物に使えば、来場者が触れ、写真を撮り、SNSに投稿するまでの流れが生まれます。

なお、設置場所は会場ごとの制約を受けるため、制作物のサイズや形状は早い段階で相談しておく必要があります。

ブース出展

音楽ライヴ・イベントが開催される会場の敷地内にブースを構え、製品やサービスの体験・キャンペーンを実施する方法です。実機を動かす、計測してみせる、体感コンテンツを用意するといった展開が可能で、技術系企業にとっては最も直接的な見せ方といえます。

プレイスメント映像制作

本編の演出映像の中に、自社の商品を登場させる手法です。広告として区切られた枠ではなく、公演の世界観の一部として自然に映り込むため、来場者に受け入れられやすいという特徴があります。

会場内サンプリング/楽屋エリアサンプリング

会場内や楽屋内で自社製品を配布し、その場で試してもらうメニューです。サイズが小さく、見た目や使用感をすぐ試せる製品だと、技術力の可視化に強く貢献します。

まとめ

技術力という無形資産は、社内では当たり前の存在であるがゆえに、外へ伝えるときに最も苦戦する資産でもあります。専門用語のまま発信すれば受け手に翻訳の負担がかかり、接触時間の短い媒体を選べば背景まで語り切れません。機能の正しさだけを並べても、記憶には残らないでしょう。

だからこそ、説明を体験に変える、感情の文脈に載せる、第三者に語らせるという3つの原則が効いてきます。音楽ライヴ・イベントの会場は、この3つを同時に満たせる数少ない場です。数千人から数万人を支える設備そのものが技術の使用現場であり、来場者は数時間にわたって前向きな気持ちでその空間に身を置いています。売り込む側ではなく、体験を良くする側に立てるという点も、ほかの広告手法にはない特徴です。

LIYYELL(ライエル)では、貴社の技術や課題をうかがったうえで、適したアーティストの公演とメニューの組み合わせをご提案しています。取り扱い中のLIVEについては打ち合わせの場で個別にお伝えしていますので、まずは気軽にご相談ください。自社の強みをどう見せるべきか、その糸口を一緒に探すところから始められます。

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