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社内稟議を通すライヴ協賛プレゼンの設計方法|経営層が納得する提案書の技術
2026/02/27

ライヴ協賛は認知拡大や採用強化に有効なマーケティング手法として注目を集めていますが、社内稟議の段階で承認を得られず頓挫するケースが少なくありません。
ここでは、マーケティング担当者が自信を持って稟議を通過させるための提案書の設計技術を解説します。
音楽LIVE協賛の提案書で経営層が重視する要素

経営層が稟議を承認する際には、感覚的な判断ではなく、明確な判断基準に基づいて意思決定を行います。音楽LIVE協賛の提案書では、投資対効果の明確さ、リスクの可視化と対策、そして自社の経営戦略との整合性という3つの要素が特に重視されます。
これらを提案書に明確に盛り込むことが、承認率を高める鍵となります。
ROI(投資収益率)への直結性
経営層にとって、マーケティング投資は必ず何らかのリターンをもたらすべきものです。ROIとは「投資した金額に対してどれだけの利益を生み出したか」を示す指標であり、提案書ではこの数値を具体的に試算することが求められます。
たとえば、総投資額500万円のライヴ協賛で、会場来場者2万人のうち5%がブースに立ち寄り、そのうち20%がメールアドレスを登録したとすると、200件のリード獲得が見込めます。さらに、過去の自社データから営業部門がリードを顧客化する確率が10%、平均顧客単価が50万円であれば、最終的な売上は1,000万円と試算できるでしょう。この場合、ROIは(1,000万円 – 500万円)÷ 500万円 = 100%となり、投資額に対して同額の利益が見込めることを示せます。
ただし、ライヴ協賛の効果はすぐに売上に結びつくとは限りません。認知拡大やブランドイメージ向上といった中長期的な効果も重要な要素です。そのため、短期ROIだけでなく、3年間の累積効果や顧客生涯価値(LTV)を含めた長期的なROI試算も併記すると説得力が増します。
リスク管理の視点
経営層が新しい施策に慎重になる理由のひとつは、予期せぬリスクへの懸念です。ライヴ協賛においては、想定した来場者数が集まらない、天候不良でイベントが中止になる、競合他社も同じイベントに協賛しているといったリスクが考えられます。提案書では、こうしたリスクを洗い出し、それぞれに対する対策を明記することが重要です。
リスク管理の具体例としては、まず「来場者数が想定の50%だった場合」といった悲観シナリオを作成し、その場合でもどの程度の成果が見込めるかを試算します。
また、イベント中止時の契約条項を事前に確認し、協賛費の一部返金や次回イベントへの振替が可能かどうかを明示することも有効でしょう。
経営戦略との整合性
どれだけROIが高く、リスク対策が万全でも、その施策が会社の経営戦略と合致していなければ承認されません。経営層は常に全社的な視点で判断を行うため、提案するライヴ協賛が中期経営計画や年度方針とどう結びつくかを明確に示す必要があります。
たとえば、自社が「Z世代顧客層の開拓」を経営課題としているのであれば、協賛対象とするライヴのファン層の年齢構成データを示し、ターゲット層との一致度を証明します。また「地域密着型ブランディング」を掲げている企業なら、地元出身アーティストのツアーに協賛することで地域貢献と認知拡大を同時に達成できると説明するでしょう。
さらに、採用強化が経営課題の企業では、ライヴ協賛を通じて若年層に「働きたい会社」というイメージを醸成し、採用サイトへのアクセス増加や応募者数の向上につなげるというストーリーを描きます。
このように、経営層が日頃から気にかけている経営課題に対して、ライヴ協賛がどう貢献するのかを明示することで、提案の必然性が高まり、承認を得やすくなります。
音楽LIVE協賛の稟議が通る提案書の基本構成
稟議を通過させるためには、提案書の構成が論理的で分かりやすいことが不可欠です。経営層は多忙であり、提案書を細部まで読み込む時間がないため、要点を素早く把握できる構成が求められます。ここでは、承認率を高める提案書の作り方を解説します。
エグゼクティブサマリー|1枚で全体像を伝える
エグゼクティブサマリーは提案書の冒頭に配置し、A4サイズ1枚以内で提案の全体像をまとめたものです。多忙な経営層は、このページだけを読んで承認可否の判断を下すこともあるため、最も重要なセクションといえます。記載すべき内容は、提案の目的、投資額、期待される成果(KPI)、ROI試算、実施時期の5点です。
たとえば「Z世代顧客層の獲得を目的に、○○フェスティバルへブース出展協賛を実施。投資額350万円に対し、500件のリード獲得と推定売上1,200万円を見込む。ROI 243%。実施予定は2026年8月」といった具合に、数値を中心に簡潔に記述します。箇条書きを活用し、視覚的に情報が整理されていることも重要です。
また、経営層が最も気にする「なぜ今この施策が必要なのか」という問いへの答えも冒頭に示します。たとえば「競合A社がすでに同様の協賛を実施し、若年層シェアを拡大している」といった危機感を喚起する情報や、「当社の中期経営計画に掲げる新規顧客層開拓に直結する」という戦略的位置づけを明示することで、提案の必然性を強調できます。
現状分析と課題提示|データで説得する
提案書では、感覚的な表現ではなく、数値やグラフを用いて課題の深刻度を可視化することが重要です。たとえば、自社Webサイトへのアクセス解析データから「20代訪問者が全体の5%にとどまり、競合B社の18%と比較して著しく低い」といった具体的な数値を提示します。
また、市場調査データや第三者機関の統計も説得力を高める材料となります。「音楽フェス来場者の78%が購買意思決定に会場での体験が影響したと回答(○○調査機関、2025年)」といった外部データを引用することで、ライヴ協賛という手法の有効性を裏付けられます。
課題提示では「何もしなければどうなるか」という将来リスクも併せて示すと効果的です。「このまま若年層へのリーチ不足が続けば、3年後の売上は現状比15%減少する見込み」といった予測を示すことで、経営層に行動の緊急性を認識させることができます。
解決策の提示|手法選定の根拠を示す
課題を明示したうえで、その解決策としてライヴ協賛がなぜ最適なのかを論理的に説明します。単に「ライヴ協賛をしたい」という希望ではなく、複数の選択肢を比較検討した結果としてライヴ協賛が選ばれた、という構成にすることが重要です。
比較対象としては、テレビCM、Web広告、インフルエンサーマーケティングといった他の施策を挙げ、それぞれのコスト、リーチ数、ターゲット適合度を一覧表にまとめます。たとえば「Web広告では月間100万円でリーチ50万人だが、ターゲット層(20代)の割合は30%。一方、○○フェスは350万円で来場者3万人だが、20代比率が82%と高く、体験型接触により記憶定着率も高い」といった比較により、ライヴ協賛の優位性を示します。
さらに、協賛するイベントやアーティストの選定理由も具体的に記述します。「○○アーティストのファン層分析では、当社ターゲット層と年齢・興味関心が92%一致」といったデータや、「過去の同イベント協賛企業の事例では平均ROI 180%を達成」という実績情報があれば、選定の合理性を証明できます。
投資効果とROI試算|期待できる費用対効果を数値で示す成果の算出は、楽観シナリオ・標準シナリオ・悲観シナリオの3パターンで示すと説得力が増します。
標準シナリオの例としては「来場者3万人のうち10%がブース訪問(3,000人)、うち15%がリード化(450件)、営業部門の商談化率30%(135件)、成約率20%(27件)、平均顧客単価80万円で総売上2,160万円。総投資額500万円を差し引いた純利益1,660万円、ROI 332%」といった計算を示します。
また、即時的な売上だけでなく、SNS上での拡散効果や認知度向上といった中長期的な効果も数値化します。「協賛関連のSNS投稿が推定5,000件、総リーチ150万人、広告換算価値として300万円相当」といった試算を加えることで、ROIをより包括的に評価できます。
リスク分析と対策|経営層の不安を解消する
どれだけ魅力的な提案でも、リスクが放置されていれば経営層は承認しません。主なリスクとしては、来場者数の未達、天候不良によるイベント中止、競合他社の同時出展、効果測定の失敗などが挙げられます。
各リスクに対しては、発生確率と影響度を評価し、対策を明記します。たとえば「来場者数が想定の50%だった場合、リード獲得数は225件に減少するが、それでもROI 120%は確保できる」といった悲観シナリオでの試算を示すことで、最悪の事態でも一定の成果が見込めることを証明します。
また、イベント主催者との契約条項も重要なリスク対策です。「中止時は協賛費の80%返金、または次回イベントへの振替が可能」といった条件を事前に確認し、提案書に明記することで、経営層の懸念を軽減できます。
さらに、「万が一想定した効果が得られなかった場合、次年度の予算申請は見送る」といったコミットメントを示すことも、リスクに対する真摯な姿勢を伝えられます。
実行体制とスケジュール|実現可能性を示す
提案が承認されても、実行段階で頓挫しては意味がありません。実行体制としては、プロジェクトリーダー、営業チーム、制作チーム、効果測定チームといった役割分担と各担当者名を記載します。
スケジュールは、提案承認から協賛実施、効果検証までを時系列で示します。たとえば「4月:主催者との契約締結、5月:ブースデザイン確定、6月:ノベルティ製作、7月:スタッフトレーニング、8月:イベント実施、9月:効果測定・レポート作成」といった具合に、マイルストーンを明示します。
また、外部パートナーとの協力体制も記載すると信頼性が高まります。「イベント協賛の実績がある○○社と提携し、ブース設計から効果測定まで一貫してサポートを受ける」といった情報があれば、社内リソースだけでは不安という経営層の懸念を解消できるでしょう。
音楽LIVEマーケティングと従来の広告の違いを示す方法

経営層を説得するうえで最も効果的なのは、ライヴ協賛が従来の広告手法と比べてどれだけ優れているかを数値で示すことです。テレビCMやWeb広告といった慣れ親しんだ施策との比較を通じて、ライヴ協賛の費用対効果、顧客との関係性の深さ、二次的な拡散力という3つの観点から優位性を証明します。
CPA・CPM比較でコスト効率を示す
CPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)とCPM(Cost Per Mille:1,000インプレッションあたりの単価)は、広告効率を測る代表的な指標です。提案書では、これらの指標を用いて従来広告とライヴ協賛を比較することで、コスト効率の優位性を明確にできます。
たとえば、Web広告で月間100万円の予算を使い、50万インプレッションを獲得した場合、CPMは2,000円となります。一方、来場者3万人のライヴに350万円で協賛し、会場内バナー・CM・SNS拡散を含めて総リーチ200万人を達成できれば、CPMは1,750円と算出され、Web広告よりも低コストでリーチできることを示せます。
CPA比較はさらに説得力があります。Web広告でリード獲得にかかるCPAが5,000円だとすると、350万円の予算で700件のリードが目標値になります。しかし、ライヴ協賛では会場でのブース接触やサンプリング配布により、より質の高いリードを獲得できる傾向があります。実際の事例では、ライヴ協賛でのCPAが3,500円程度に抑えられるケースも多く、同じ予算でより多くの見込み客を獲得できることを証明できるでしょう。
ただし、単純な数値比較だけでなく、リードの質にも言及することが重要です。Web広告経由のリードは興味レベルが浅い場合が多いのに対し、ライヴ会場で直接接触したリードは商談化率や成約率が高い傾向にあります。こうした質的な差も数値化し「Web広告経由の成約率5%に対し、ライヴ協賛経由は12%」といった比較を示すと、より説得力が増します。
エンゲージメント率の違いを示す
エンゲージメント率とは、顧客がブランドとどれだけ深く関わったかを示す指標です。従来のマスメディア広告は一方的な情報伝達に過ぎませんが、ライヴ協賛では体験型の双方向コミュニケーションが可能となり、顧客との関係性がより深まります。
テレビCMの場合、視聴者は受動的に情報を受け取るだけで、ブランドとの接触時間は15秒から30秒程度です。一方、ライヴ会場のブースでは、来場者が能動的に訪れ、商品を手に取り、スタッフと会話するという能動的な体験が生まれます。平均滞在時間は3分から5分、長い場合は10分以上に及ぶこともあり、接触時間の長さが記憶定着率を大きく向上させます。
この違いを数値化する方法として、想起率調査があります。たとえば、テレビCMを見た人の翌日のブランド想起率が15%であるのに対し、ライヴ会場でブースに立ち寄った人の想起率は70%以上というデータがあれば、体験型マーケティングの優位性を明確に示せるでしょう。
また、NPS(Net Promoter Score:顧客推奨度)という指標も有効です。従来広告では顧客が他者にブランドを推奨する動機は生まれにくいですが、ライヴ会場での楽しい体験は「友達にも教えたい」という推奨行動につながりやすくなります。ライヴ協賛後のアンケートでNPSを測定し「協賛ブース来場者のNPSが+45、一般的な広告接触者のNPSが+10」といった差を示すことで、顧客ロイヤリティ形成の効果を証明できます。
SNS波及効果を算出して示す
ライヴ協賛の最大の強みの一つは、SNS上での二次拡散による波及効果です。従来広告では広告費を払った分だけのリーチしか得られませんが、ライヴ協賛ではUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)により、追加コストなしで認知が拡大していきます。
SNS波及効果の算出では、まずハッシュタグ投稿数を計測します。たとえば「#○○フェス×企業名」のハッシュタグで800件の投稿があったとします。次に、各投稿のインプレッション数を推定するため、投稿者のフォロワー数の平均値を算出します。平均フォロワー数が500人であれば、初期リーチは800×500=40万人です。
さらに、リツイートやシェアによる二次拡散も計算に含めます。平均的に各投稿が5回シェアされ、シェアした人のフォロワーが平均300人だとすると、二次拡散リーチは800×5×300=120万人となり、合計160万人へのリーチが見込めます。
この拡散効果を広告換算価値として金額化することも可能です。SNS広告のCPMが800円だとすると、160万インプレッションの広告価値は160万÷1,000×800円=128万円相当となります。協賛費350万円に対して、SNS拡散だけで128万円分の広告効果が上乗せされると示せば、実質的な費用対効果の高さを証明できるでしょう。
また、投稿の質的分析も重要です。単なる投稿数だけでなく、ポジティブな感情表現を含む投稿の割合や、商品・サービスへの具体的な言及数を分析することで、ブランドイメージ向上への貢献度も測定できます。
音楽ライヴの協賛メニュー選定を説明するときの方法
協賛メニューには、ブース出展、会場内CM、バナー広告、サンプリング、冠協賛など多様な選択肢があり、経営層はどれを選ぶべきか判断に迷います。提案書では、選定理由を論理的に説明することが必要です。
予算規模別の推奨メニュー構成とする
予算が限られている場合、すべてのメニューを実施することはできません。経営層に対しては、予算規模ごとに最も費用対効果が高いメニュー構成を提示することで、実現可能性と合理性を示せます。
複数メニュー組み合わせによる相乗効果を訴える
単一のメニューよりも、複数のメニューを組み合わせることで、認知から体験、コンバージョンまでの一貫した顧客体験を設計できます。提案書では、この相乗効果を具体的に示すことで、メニュー構成の戦略性を証明できます。
ターゲット層とアーティスト選定の整合性を示す
協賛するライヴやアーティストの選定は、自社のターゲット層と合致していなければ効果が半減します。提案書では、アーティストのファン層データと自社のターゲット顧客像を比較し、高い整合性があることを証明する必要があります。
稟議承認後は信頼できるパートナーとLIVEマーケティングを
稟議を通過させた後、実際の協賛を成功させるためには、信頼できるパートナーとの協力が欠かせません。ライヴ協賛の企画から実行、効果測定までをワンストップで支援する専門サービスを活用することで、社内リソースの負担を軽減しながら、高い成果を実現できます。
LIYYELL(ライエル)は、企業とアーティスト・イベントをマッチングし、音楽LIVEマーケティングを総合的にサポートするプラットフォームです。予算規模や目的に応じた最適な協賛メニューの提案から、ブース設計、効果測定の設計、協賛後のレポート作成まで、一貫したサポート体制を提供しています。ライヴ協賛を検討されている企業のマーケティング担当者の方は、是非ご相談ください。
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