COLUMN
コラム
EC・通販ブランドが音楽LIVE協賛でリアル接点を作り顧客獲得コストを下げた成功事例
2026/02/27

「広告費を増やしても、売上が比例して伸びなくなった」——そう感じているEC・通販担当者は少なくありません。Web広告のCPAは年々上昇し、デジタルだけでは「熱量の高い顧客」をつかみにくくなっています。そんな課題の突破口として、いま注目されているのが音楽LIVEへの協賛です。
ここでは、ライヴ協賛でリアルな顧客接点を作り、顧客獲得コスト(CAC)の削減に成功したブランドの事例と、その設計の考え方を具体的に解説します。
EC・通販にありがちなデジタルマーケティングの構造上の課題
デジタルマーケティングに依存しがちなECブランドは、その構造上、結果的に以下の3つの課題を同時に抱えることになります。3つの課題は互いに連鎖しており、デジタルの外側に新たな顧客との接点を作ることは、EC・通販ブランドにとって今まさに求められている戦略転換だといえます。
差別化軸が「価格」しかなくなる
ブランドへの共感や体験価値が積み上がらないと、消費者は商品を「同カテゴリの中の一商品」としてしか見なくなります。比較検討の末に価格が最安値でなければ選ばれない、という状況に陥り、値引きや送料無料で対抗するしかなくなる。これでは利益率の改善は望めません。
顧客リストが積み上がらない
リピーター獲得の基盤となるメッセージアプリの友だち登録やメールマガジン登録は、デジタル広告経由の購入者からは得られにくいのが現状です。「欲しいから買っただけ」という顧客は、登録フォームへの誘導に乗りにくく、CRM(顧客管理)につながる接点が生まれません。広告経由の一発購入で終わり、顧客資産が積み上がらない状態が続きます。
広告依存体質から抜け出せない
広告を止めた瞬間に流入がゼロになる、という構造は多くのEC担当者が抱える悩みです。SEOやSNSの運用でオーガニック流入を増やす取り組みは重要ですが、それだけでは「熱量の高い新規顧客」を継続的に獲得し続けることは難しいといわざるを得ません。広告費を削れない・削りたくないというプレッシャーが、予算配分の硬直化を招いています。
音楽LIVEがEC・通販のリアル接点として機能する3つの理由

音楽LIVEへの協賛が、EC・通販ブランドのリアル接点として有効だといえるのは何故でしょうか。大きく3つの理由から整理しましょう。
ライヴ来場者の購買力と親和性がある
音楽ライヴやフェスティバルに足を運ぶ人々は、チケット代・交通費・グッズ代など年間数万円から十数万円をエンタメ消費に充てる、消費意欲の高い層です。「お金を使うことへの抵抗が低い」という特性は、EC・通販ブランドにとってターゲットとして非常に相性が良いといえます。
さらに重要なのは、音楽のジャンルやアーティストの属性ごとに、来場者の傾向が可視化しやすいという点だ。たとえばK-POPフェスなら20〜40代女性が多く、ビューティーや服飾系ブランドとの親和性が高いといえます。
加えて、「好きなアーティストが関わっているブランド」というコンテキストは、商品への信頼感や好意を一気に高める効果を持ちます。広告で見かけるブランドへの警戒心とは根本的に異なる、感情的な受容性がそこには生まれるのです。
集中的な露出効果で認知度を一気に拡大できる
音楽ライヴ・フェスの会場は、数千人から数万人が限られた時間・空間に集まるクローズドな環境です。この「密度の高さ」こそが、マーケティング上の大きな武器になります。
デジタル広告では、ターゲットユーザーへの接触は1回のインプレッションにとどまることが多いといわざるを得ません。一方ライヴ会場では、入場前のサンプリング、会場内のバナー掲出、スクリーンへのCM放映、ブースでの接客と、自然な流れの中で複数回の接触が発生します。同じ人が「見る→受け取る→立ち寄る→話しかけられる」という体験をすると、ブランドの記憶への定着率は格段に上がります。
露出効果は、ライヴ会場の外にも広がります。来場者がSNSに投稿した写真や動画にブランドが映り込めば、フォロワーへの口コミが自然発生する。テレビCMのようなマス広告と比べて予算は少なくても、ターゲット層への密度の高い接触と、SNSによる自然拡散の両方を同時に狙えるのが、ライヴ協賛の構造的な強みです。
そのままEC購買につながる購買ファネルを作れる
ターゲット精度の高さと密度の高い露出は、そのままEC購買への誘導に活かせる。ライヴ協賛がEC・通販ブランドにとってとくに有効なのは、会場での体験からEC購買まで、一連のファネルとして設計できる点です。
たとえば、会場で試供品を受け取った来場者が「気に入った」と感じた瞬間、サンプルに印刷されたQRコードからECサイトに誘導できます。さらに「会場限定の初回割引クーポン」や「先着でプレゼント」といったオファーを組み合わせれば、帰宅後の購入行動を後押しできます。その場での成約だけでなく、LINE公式アカウントへの友だち登録を促すことで、後日のメッセージ配信を通じた継続購入にもつなげられます。
ライヴ会場での体験がSNSへの自然な投稿を促し、そのUGC(ユーザー生成コンテンツ)が会場外の潜在顧客の目に触れてEC流入を生む、というルートも設計可能です。このように、音楽ライヴ会場はEC・通販ブランドにとって「一度きりの広告露出の場」ではなく、購買ファネルの入口として機能するリアルな接点になりうる。
EC・通販ブランドがLIVEマーケティングで成功した事例
実際に音楽LIVE協賛でリアルな顧客接点を作り、成果を上げたブランドの事例を3つ紹介します。業種・規模・協賛の形はそれぞれ異なりますが、いずれも「ターゲットが集まる場を選び、体験設計と購買導線をセットで組む」という共通点があります。
事例1|マルコ × 2024 MUSIC BANK GLOBAL FESTIVAL「K-POPフェスに補整下着ブランドが協賛しターゲット層へ直接アプローチ」
補整下着・ボディケアブランドを展開するマルコ株式会社は、2024年に開催された大型K-POPフェスティバル「2024 MUSIC BANK GLOBAL FESTIVAL in JAPAN」のオフィシャルスポンサーに就任しました。マルコの主要ターゲットである30〜50代女性と、K-POPファンの中核層(20〜40代女性)が重なるという属性分析に基づいた協賛選定です。
EC・通販ブランドにとって最大の課題は、「商品を実際に見て・触れて・試してもらう機会がない」ことです。フェス会場内ブースに体験コーナーを設置することで、普段はネット上でしか接触できないブランドがリアルな体験の場を初めて持つことができます。その場での成約だけでなく、「会場でのLINE登録→後日ECサイトで購入」という購買ファネルの設計により、1回の協賛から継続的な売上を生み出す構造を実現しています。
事例2|ZONe ENERGY × 音楽イベント協賛「SNS連動で会場外のEC購買まで波及させた新ブランドの立ち上げ戦略」
サントリー食品インターナショナルのエナジードリンク「ZONe ENERGY」は、ブランド立ち上げ期から音楽・ゲーム・カルチャー系イベントへの協賛を軸にマーケティングを展開し、SNSとの連動でEC・店頭双方の購買を刺激することに成功しました。会場内でのサンプリングと同時に、「飲んでハッシュタグ投稿でプレゼント」というキャンペーンを設計し、来場者のUGC(ユーザー生成コンテンツ)をEC流入の導線として機能させています。
ZONe ENERGYの協賛が際立つのは、会場体験をSNS投稿→オンライン認知→EC検索・購買という購買ファネルを設計した点です。ライヴ会場で初めて製品を知った消費者が、SNSの投稿を見て「自分も飲んでみたい」と思い、帰宅後にECサイトや近隣コンビニで購入するという行動を意図的に設計しています。ライヴ会場という「熱量の高い第一接触点」を活かした、デジタル広告だけでは作れない購買の起点となっています。
事例3|Causette.Joli(コゼットジョリ)× FUJI ROCK「手作りアクセサリー通販ブランドがフェスで数年がかりのブランド構築」
佐々木商店が展開するアクセサリーブランド「Causette.Joli(コゼットジョリ)」は、フジロックフェスティバルへの継続的な協賛を通じて、EC中心の小規模ブランドから「フジロックといえばコゼットジョリ」と認識されるブランドへの成長を遂げました。年に一度のフジロックという場を最大活用するために、年間のSNS・EC戦略をフジロック協賛を軸にした設計で組み立てています。
ECの顧客獲得コストを下げる協賛の設計

ライヴ協賛をCACの削減につなげる上で「会場に出ること」で満足してはいけません。会場内でどう接点を設計し、来場者をECサイトへ誘導するかまで、一連のファネルとして組み立てることが不可欠です。
サンプリング・QRコード・ブース出展で役割分担する
ライヴ協賛の会場内タッチポイントは、大きく「サンプリング」「QRコード」「ブース出展」の3つに分けられます。それぞれに異なる役割があり、組み合わせることで「認知→関心→行動」の購買ファネルを会場内で完結させることができます。
■サンプリング:「まず試してもらう」最初の扉
……サンプリングは、ECブランドがリアルでできる最も強力な初回体験の提供手段です。画面越しにしか伝えられなかった商品の質感・香り・使用感を、来場者に直接届けられます。この「体験のリアルさ」が、後の購買判断に大きく影響します。
■QRコード:「熱量が最も高い瞬間」をECへの入口にする
……QRコードの設置場所は、来場者の熱量がピークに達している瞬間に合わせることが鍵です。サンプリングを受け取った直後、ブースを離れた出口付近など「良いな」と感じた直後に読み取れる場所に設置しましょう。
■ブース出展:深い体験と「顧客資産」の構築
……会場内ブースは、購買意欲の高い来場者に対して接客・商品説明・カウンセリングなど深い体験を提供できる場です。その場での成約も期待できますが、むしろLTV(顧客生涯価値)の高い顧客を育てる起点として捉えることが重要です。
その場でECサイト誘導・会員登録まで実行させる
会場に来た人が「いいな」と感じたとしても、そのままアクションしなければ記憶は数日で薄れてしまいます。重要なのは、その熱量が高いうちに、できるだけ小さなアクションで登録・購入まで完結させる設計です。
最も効果的なのは「来場者だけが受け取れる特典」を用意することです。会場限定の初回割引クーポン、先着でのプレゼント、会員登録で使えるポイント付与など「今ここでしか手に入らない」という限定性が行動を後押しします。メッセージアプリへの誘導はとくに有効で、登録後のメッセージ配信によってリターゲティング広告を使わずに再接触できる、低コストな顧客フォローが可能になります。
登録フォームやLP(ランディングページ)は、スマートフォン操作を前提に設計することが必須です。入力項目が多すぎたり、画面遷移が複雑だったりすると、会場の喧騒の中でユーザーは簡単に離脱してしまいます。「名前・メール・電話番号の3項目のみ」「LINEのワンタップ登録」など、最小限の操作で完結する設計を徹底したいところです。
会場CM・SNS連動で「会場外」にも拡散を広げる
ライヴ協賛の効果を会場内だけで完結させてしまうのは、もったいない。設計次第で、1回のイベントから会場外への波及効果を継続的に生み出せる。
■会場CMでブランド名を刷り込む
……スクリーンへのCM放映やアナウンスによる協賛告知は、会場全体へのリーチを確保できるメニューです。ブランド名とECサイトのURLを繰り返し露出することで、来場者の記憶に残り、帰宅後の検索行動や購買につながります。
■UGCを生み出す仕掛けを会場に埋め込む
……来場者が自然にSNSへ投稿したくなる体験を設計することで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が自然発生し、会場外の潜在顧客へのオーガニックなリーチが生まれる。フォトジェニックなフォトスポットの設置、試供品を使ったビフォーアフター体験など、「投稿したくなる瞬間」を意図的に作ることが重要です。
■イベント後のフォローで「余熱」をEC購買に転換する
……協賛当日に登録してもらったメッセージアプリの企業アカウントを活用し、イベントから数日後にフォローアップメッセージを配信することで、会場での体験を購買につなげられます。「先日のフェスで試していただいた商品の、会場限定クーポンの有効期限は〇日まで」といった内容は、開封率が高く、EC誘導に直結しやすくなります。リターゲティング広告と組み合わせることで、オンラインでも複数回の接触を維持できるでしょう。
まとめ
音楽LIVE協賛は「知名度があるブランドだけのもの」ではありません。むしろ、熱量の高い顧客と出会う機会を持てていない中小ECブランドこそ、取り組む価値がある手法だといえます。
ライエルは、企業とアーティストのマッチングから協賛内容の設計・実施サポートまでをワンストップで支援するLIVEマーケティング支援サービスです。「どのライヴに協賛すれば良いかわからない」「会場内の施策を何から考えれば良いかわからない」という段階からでも、担当者が丁寧にヒアリングし、自社のターゲット・予算・目的に合った協賛プランを提案します。まずはお気軽にお問い合わせください。
ライヴPRノウハウ一覧
